広島大学 脳神経内科学 Hiroshima Univ. Clinical Neuroscience & Therapetics

留学体験記

志賀 裕二

山口大学 2011年卒

留学先:
Australia
The University of Newcastle, Hunter Medical Research Institute, John Hunter Hospital
  • はじめに

    留学前までは脳卒中診療を中心に広島県内で研鑽を積ませていただきました。その間に脳神経内科専門医、脳卒中専門医、脳血栓回収療法実施医の取得をしました。2021年に広島大学大学院を卒業し、翠清会梶川病院にて脳神経内科医として勤務をしながら、留学の準備を行い、2023年にオーストラリアへ臨床研究で留学することができました。

  • 海外留学を希望した理由

    学生時代には海外留学には全く関心がありませんでした。海外留学に興味を持ったきっかけは、医師として臨床経験を積んでいく中で、海外では使用できる治療薬なのに日本では使用できない治療薬がある、ということを以前から知ってはいたものの、なぜ使用できないのか、ともどかしい気持ちに駆られたことです。
    また、大学院の時に参加させていただいた脳梗塞の画像解析の臨床研究において、オーストラリアの研究グループから類似した臨床研究の論文が複数報告されており、その研究機関に関心を持ったことも大きかったです。
    私生活においては、海外で生活してみたい、という気持ちが一番大きかったように思います。オーストラリアは多国籍な国家でもあり、文化も多種多様です。昨今の日本にも必要とされている多様性に直接触れることができ貴重な経験となっています。

  • 留学先について

    私の留学したHunter Medical Research Institute/ John Hunter Hospitalの脳卒中グループには以前から在籍中の日本人の方がおられたため、その方の後任として赴任することができました。
    私の担当している主な研究は急性期脳梗塞患者の造影C Tによる塞栓源の早期特定、予後解析などです。また、2023年時点では急性期の脳梗塞治療薬として日本では使用ができない(日本でも臨床試験が開始されています)テネクテプラーゼという薬がオーストラリアでは使用できるため、その効果を間近で体感することができています(臨床医としては働いておりません)。
    脳卒中グループにはオーストラリア以外にアメリカ、カナダ、スペイン、中国、バングラディシュと様々な国にルーツを持つ方がおり、英語を第2言語として話す人も多いため、様々な英語に触れることができます。私は今でも英語が苦手ですが、寛容な同僚達のおかげで英語でのコミュニケーションに臆することは無くなりました。

  • オフタイムについて

    ニューカッスルの気候は日本と比較して穏やかです。日差しはきつく感じ、紫外線対策は必須ですが、夏でも日陰に入れば涼しい風を感じることができます。冬は雪が降ることはありません。
    週末は休みなので子供を連れて野生動物の保護区や動物園でカンガルーやコアラなどを見たり、公園巡りをしたりして過ごしています。長期休暇の際にはシドニーまで外出したこともあります。

  • 海外留学を希望する後輩へのアドバイスや、同門会員へのメッセージ

    海外で生活を行うことにより得られる経験は他のもので代替することのできない貴重なものだと思います。海外に興味がある方はぜひ行動に移してみてください。
    末筆ながら、今回の留学にあたり多大なご支援をいただきました広島大学脳神経内科学 丸山教授、杏林大学医学部脳卒中医学教室 平野教授をはじめ、同門会員の先生方、さらに大学の垣根を超えて多くの先生方にご支援をいただきましたこと、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

    2024年3月